愛は惜しみなく与う⑥
「お前、ここから出たいんやろ?」
昴の問いかけに素直に頷く
「総長の願いは叶えたらなあかんなぁ」
グーンと背伸びをして、昴は敦子と美奈子の肩に腕を回した。
半年ぶりの3人
何も変わってない
その3人が…今あたしの目の前にいる
「あの日は助けてやれなくて悪かった。お前は俺たちが頼りなく感じるかもしれねーけど、もう一回信じてくれへんか?」
あの日?
あの日は…あたしが…
頼りなくなんてない
頼りないから皆を突き放したんじゃない。
あたしの弱さのせいや
あたしが強ければ、みんなを守ってあげれる総長なら…
あれは、みんなのせいなんかじゃない
「ごめんな?杏ちゃんに頼られてさ、嬉しくて調子乗っててん。でもほんまに、もう一回信じて?」
な?といつもの可愛い笑顔で敦子が笑う
「どーせ、あの日のことがずっと引っかかってんでしょ?」
美奈子はドンとあたしの胸あたりに拳を突きつける
「あたし達はあんたを信じてる。だからあんたも…杏も、あたし達を信じて。あんたが作った薔薇を、信じて」