愛は惜しみなく与う⑥
信じてない時なんて無かった

あたしがしっかりしてれば、皆んなは何も苦しむことはなかった


みんなにここまで言ってもらわなきゃ素直になれへんあたしは、ダメダメやな



「あたしと一緒に…サトルの所へ行って欲しい」


声が震えた
そう言って吐きそうになった

いろいろな思いが詰まってて、みんなを傷つけてしまったあの瞬間も頭に浮かんで。

でも言えた



「アホやなぁ。いつでも俺たちは、杏の味方だったのに」


ガシっと頭を抱えるように昴に抱き寄せられた

敦子も美奈子もあたしの手を握って、小さくおかえりと呟いた


正直頭はついてきてへん

なんでいるんやろって思うし
志木とも繋がってるみたいやし、てゆうか、朔のことも知ってたし


全て訳わからん


でも、今ここから出て、サトルの所へ行かなあかんってのは分かってる



「……杏、友達か?」


ずっと黙ってみていた雄作さんが声を出した。


「うん、そう。あたしが楽しく学生できたのは、ここに居る3人のおかげ。ずっとずっと、東堂って言えなくて……家に呼んだりできひんかったけどさ。

あたしの大事な仲間やねん」
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