愛は惜しみなく与う⑥
「サトルはどこだ?あと何人いる?」


倒れた男に馬乗りの状態で胸ぐらを掴み、男の頬を叩く

気絶は…させないらしい


「く、くすり…」

「完璧に手懐けられてるのか」


胸ぐらを掴む手を離すと、男ドサリと床に倒れた。泉はそれを冷たい目で見下ろす。

こえーよ、お前が1番



「ちょっと、殺したりしないでくださいよ?笑えませんから」

「あぁ、わかってる。そんな力でやってない」

どうだか
泉とそーとーきてるな。大勢いた相手も、もう誰も立ち上がらなくなった。


「泉っていつもこんな感じなんですか?」

手の汚れを真っ白のハンカチで拭きながら、志木さんは俺のそばに来た。

いつもな…


「いつもは、やる気出せよ!ってくらいてきとーに喧嘩してる」

「なるほど…こんなに強かったんですね」

「特に今は、頭に血がのぼってんじゃねーかな。知らないけどさ…やり過ぎの時は俺が止めるから」

ストッパー役
なんてごめんだ!って言いたいけどな
泉は俺だと止まるから。
殴られるのは勘弁してほしいけど。
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