愛は惜しみなく与う⑥
クスリがきれたのか、喚く奴も出てきた


「怖いね」

響はそんな男を見て言った。
大麻とか薬物とか…よく分からないけど、やばいことはわかる。

正直強くなかった。
なんだろう。タフなだけ

腕も大振りだし、避けてくれと言わんばかり。


人間こんな風になっちゃ終わりだな


「く、クスリ…くだ、さい」


隣の志木さんの足元に倒れていた男は、志木さんを誰だと思ったのか、志木さんの片足にしがみつき、訴えた


「ここまでキマッているのに、言葉を話すのは、人間みたいで気に食わないですね」


ズボンの裾を掴む男をもう片方の足で踏みつぶした。

いや、もう、志木さんも怖いよ


杏が言ってた。志木さんは東堂組の組員でもあると。ベテランだと笑ってた

この人腹に穴空いてんだぞ?
志木さんの飲んだ薬もやばそうだ…


「慧大丈夫そう?捻挫した?」

「ううん。ちょっと捻っただけだから大丈夫だよ」


響は心配そうに足を気にする慧をみていた。怪我したか。たしかに、予測不能の動きすぎて、何発かもらった


「怪我か?見せてみろ」
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