愛は惜しみなく与う⑥
「この短期間で、ここまで人を集めれるのはすごいよな」

「でもまぁ、使い捨てというか、足止めというか……」


だってアジト潰したのも数時間前なんだぜ?早すぎるだろ…

それに足止め


時間稼ぎ?


自分で言ってて嫌な予感がした。
これはもしかして時間稼ぎか?


「チッ。そっちかよ」


泉は舌打ちをして近くで倒れている男を蹴った。


「おい、起きてるだろ?お前らはなんの為に呼ばれた?」

「なるほど…サトルらしい考え方ですね」


志木さんも何かを感じ取ったのかため息をつく。
サトルらしい…か

俺はサトルに会いたくない

殴ってやりたい気持ちはあるけど、何か似ている部分がある気がする。
サトルの話を泉は濁しながらはなした。幼少期の周りの環境が良くなかったと、濁したけど。

俺に気を使ってだと思う。


いいのに
俺は今こんなに幸せな環境なんだから。

でも、昔の記憶が消えるわけじゃない。


もし俺が泉に出会ってなけりゃ?あの時助けてくれたのが泉じゃなかったら?

俺はどうなってただろうか


時々考えて怖くなる

まともな考えをしてなかったことは自覚しているから。
一歩間違えればサトルのような歪んだやつになっていたかもしれない。
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