愛は惜しみなく与う⑥

男の髪の毛を掴む泉

そうとう怒ってるな

いつもはこんなんじゃないのに。


水瀬を殴り飛ばした時と同じ顔をしてる。


サトルの腹を探るために、こいつらに話を聞かなきゃいけないのはわかってるけど。


「泉、あんまりやりすぎんな。さっきから……ちょっと酷いぞ」


泉の手を掴むと、泉はチラリと俺を見て小さく舌打ちした。
はぁ


「冷静になれとは言わないけど…やりすぎのお前を見るこっちの身にもなれ」


……響なんて少しびくついてるだろ。
こわかねーけど…見たくない


「…悪かった」


大きく息を吸ったあと、泉は素直に謝った。

よしよし。まだ大丈夫だな。サトルに会う前からこれじゃ、先が思いやられるけど。


「はいはい、注目してください」


パンと手を叩いて新は持ってきたタブレットを指差す


「今はこの辺りのはずです。印のある場所は奥の方ですね。志木さん、この部屋はなんの部屋だったんですか?」


見せられた間取り図には、なんの設備が入ってるのか書かれていない。今いる場所は入り口の待合室的な感じの場所

だと思う…
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