愛は惜しみなく与う⑥
所々に椅子が倒れたまま置かれている


「私が杏様をみつけたのは、その印の場所で、そこは何か……手術室のような感じがしましたね。なんせここは廃墟になってから随分経つので…見てわかると思いますが、面影はあまりありません。当時から」

なるほどな
手術室とかやめろよな!


「サトルはそこかな」

「どうでしょうね。そこだと思いますが、そこまでに、まだまだ人が出てきそうですね」


間違いない。
シーンとしてるけど、人の気配は感じる。
結構時間も経ってしまってる。


先へ急ごう

泉の声で奥を目指そうと動き出したのに、見覚えのある声で立ち止まった。



「あーーー生きてたんですね」


こ、の声は



「水瀬」


泉は俺たちに止まれと手で制して、声のする方へ歩く。
生きてたんですねってのは、俺たちに向けられた言葉だと思う。


「いやーー倒すの早いなぁ。もう少し時間が稼げると思ったのに。こんなに豪華なメンバーだからな……盛大に盛り上げないと失礼だもんね?」
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