愛は惜しみなく与う⑥
女ならここで胸キューンだよな
俺でさえ、ちょっと照れ臭くなるし。



「ほら、ボーッとしてないで。今からが本番だから。なにが起こってもおかしくない。気を引き締めておけ」


泉の言葉でみんなが前を向いた


1番気がかりなのは時間だ



「かなり時間を喰いましたね。あと、杏様から着信が何件もきてます。きっと…勘づいた頃でしょう」


なるほどな
もう時間はない

すぐ終わらせれるのかわからないけど…


「とりあえずボイスレコーダーは全員が回してくれ。一応な。サトルの口から出る言葉は証拠になる。きっとサトルもそんな事は想定済みだと思う。どこまで核心に触れる話をするか分からないけど、音声と、新は動画も回してくれ。表情ひとつで嘘をついてるとか…見返せばわかるから」


新はメガネの淵につけた、小型のカメラに手を触れた。

名探偵かよ!ってツッコミは後にしてくれよな!!


「あそこを曲がれば…例の部屋です」


志木さんの指を差す方

生唾を飲み込み泉の後ろを歩いて、重々しく立ちはだかる扉に手を触れた



そして俺たちは、これまでのことが、まだ序の口だったと知らされた。


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