愛は惜しみなく与う⑥
唇
「妹は生きてる」
何でかわからへんけど、突然部屋に来た泉は、あたしにそう告げた
何ゆうてんの?って気持ちと、やっぱり。
その2つの気持ちが混ざってた。
サトルに言われて信じたわけちゃう。あたしの中で今まで鈴が悪いって言う発想がなかっただけ。
鈴のことをそんな風に初めから疑うことが出来てたら、あたしはこんな事になってなかったかもしれへん。
信じたかってん
自分の妹を
「泉はさ、どこまで知ってるん?」
何で来てくれたんやろう。どうやってここに入ってきたんやろう。色々聞きたいことはあるんやけどさ
泉を見てたら、あたしよりもこの状況が分かってるみたいやからさ
隣に座る泉はいつもと変わらない
不思議やな
ここに泉がいることが。
「志木さんを責めないでやって欲しい」
「志木を?責めへんよ。どーせあたしのためにって、必死になってたんやろ?何か隠されてるのも…知ってたし」
志木は分かりやすいからな
ずっと何か、あたしにバレへんようにコソコソしてたっけ
「まず話す前にさ、確認したいことがある」
そう言う泉は、とても言いづらそうにあたしを見る。何でも話してくれる泉やけど、言いにくいことがあるのか