愛は惜しみなく与う⑥
泉に話した
なんでこうなったか
母上のこと、会社のこと…
どうして言えなかったのか
全部言った
そして全て聞いて泉が言った言葉は
『杏、もう頑張らなくていいよ』
その言葉だった
あたしは頑張ってたんかな
意地やった気もする
開き直ってしまってたんかもしれへんな。
「あたしな、自分のために頑張ってん」
そう。会社のため、母上のため、東堂に関わる全ての人のため
そんな風に言うと聞こえはいいよな
「母上に、あんたが死ねばよかったって、言われてん。それでさ?思ってしまってん。ほんまやなって……あたしがあの時、代わりになってれば…ってさ」
なんでそんな酷いこと言うの!?
そう思う前に、自分でも納得してしまった。
だからさ
母上の言った通りにしてやろうって。
納得してしまった自分にもムカついて
意地張った
もちろん、東堂の未来も考えたけど、そんなの二の次や
「あたしが死ねばよかったって、思われてる世界で……生きていく自信がなかった。きっと東堂が潰れたら、あたしは沢山の人に恨まれる。それで思われるねん。
妹じゃなくて、あの時姉が死ねばよかったって。それがさ…耐えられへんかってん」