愛は惜しみなく与う⑥
「それでさ、妹が志木さんに言ったんだって。先に裏切ったのはお姉ちゃんだって。そうずっと言うらしい」


「あたしが鈴を?裏切る?」


心当たりがない
しいてゆうなら、志木があたしの執事で居てくれることを、譲らへんかったことくらい

え、なんやろ



「一緒にサトルをぶっ飛ばそうな」



「妹に男たちを差し向けたのは、杏だって…妹に教えたらしい」


は?
あたしが鈴を襲わせた?


「そんなことある訳!ある訳ない…」

ないのに
あたしは鈴を…可愛い妹やと思ってた
傷つけたいなんて思ってない



「ここは、詳しく志木さんも聞いてなかったみたいなんだけど。杏が男たちを差し向けたっていうサトルの言葉を信じたみたい」


あたしは頭が混乱して痛くなってきた
どういうこと?
なんで鈴はそれを信じたん?



「サトルは……人の心を操るのが上手いのかもしれないな」


泉は、サトルは面倒な奴だな。そう呟いて、あたしとの間の距離を詰めた
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