愛は惜しみなく与う⑥
その先は言えない

本音で言えば普通に殺したいよ
それくらいしても、あたしの気持ちは晴れへんと思う

ほんまに憎い


けど、そうすると、みんなとの未来も見えなくなる


だから


「あるべき姿に全部戻そう」


泉のその言葉でいい。
それでいい

あるべき姿


それは、あの事件が起こる前
鈴が襲われる前

何もなかった時に。


鈴が後継者として、母上は側にいて
あたしは志木やみんなと楽しく過ごす


あるべき姿

あの時までの当たり前の日常に戻りたい


そして願わくば

そこに、烈火のみんながいたら嬉しい



「おいで。今日は寝よう。いっぱい頭を使ったろ?泣いたし頭も痛いだろ。だから…寝な」


泉はそう言ってベッドに寝転がり右腕を出した

寝れへん
そう思ってたけど、わりと限界やった


如月冬馬がサトルってわかって、鈴が生きてるってわかって…それで、サトルと一緒に計画を企ててたって分かって…

で、泉がきた


あたしの19歳の誕生日に

直接おめでとうと言ってくれた
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