愛は惜しみなく与う⑥
「あの…少しいいですか?」

「なんだい?あまり話すと怒られるよ。使用人の間でも会話は制限されてる」


そう。それもおかしい。
みんなただ黙々と与えられた仕事をこなす。そして誰も話さない

でも、気になるから


「貴方は、どれくらいここにいるんですか?」

「私かい?私は代々東堂家にお仕えする家系でね。生まれた時からここに居るよ」


てゆうことは
杏のことも知ってるはずだよな

新人教育係だと言ったおじさんは、ここに来てみんな日が浅いと初めに話した。


ここで長く働いてるのは、そう言う血筋の人だけだと


この女の人は…ここにずっといるんだ


その時俺達に若い女が近寄り声をかけてくる



「あの…お嬢様は本日、ピンク色のワンピースをお召しになると聞いたんですが…場所が分からなくて…」


若い女は、俺が話しかけた女の人にそう尋ねる

ピンク色のワンピース?



「杏はそんな服きねーよ」



あ。
杏の癖でも移ったんだろうか。思ったことがポロリと口から漏れた

きねーよって、言葉遣い最悪だな。
そう思った
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