愛は惜しみなく与う⑥
胸ぐらを掴まれる

いや、ちょっと、怖い


「志木さんの…お母さんですか?」


馬鹿息子と怒りを露わにする女の人は、まさかの…


「そーだよ!あの馬鹿息子の母親だよ!杏ちゃん帰ってきちゃったじゃないか!
志木がどうにかするって言ってたのに!なんなんだい。このままじゃ杏ちゃんが…」

そう言って志木さんのお母さんは、泣きそうな声で言った



「誰かあの子を…杏ちゃんを助けてやって」



あぁ
この人は、杏のことをとても大切にしている人だ。

杏が言ってた…



「あなた、みのりさんですね」


思い出した
杏がいつも言ってた。みのりさんの料理が世界で1番美味しいと。
みのりさんのおかげで料理が好きになったと



「あんた…やっぱり杏ちゃんのお友達だね」

「はい。助けに来ました」


俺は運が良かった

この屋敷の中で話が通じる人に会えたから



「あの…俺、ここに来たものの、状況が読めてなくて。どうして鈴様がどうとか…言ってるんですか?妹って…」


死んだことになってるんじゃないのか?
そう訊こうと思ったけど
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