愛は惜しみなく与う⑥
窓からのぞけば、床にペタリと座り込む杏がいた

ようやく見つけた


なんかもう
その小さな身体で全て抱え込んでしまう杏が、愛おしくて…
自分を犠牲にしてしまう杏に少し怒りもあって…


力一杯抱きしめた


なんで頼ってくれないんだよ

なんで言ってくれないんだよ

どうしてここに1人できた


いっぱい不満はあった。でもそんなことどうでもよくなる。

ただ目の前に杏がいて安心した

本当に何処かへ行ってしまうかと思ったから。


杏は驚気が大きいのか、え?とずっとテンパっている。 
そこからちゃんと話をした


杏も既に、サトルに会っているから


俺は志木さんのお母さんにあの後ついて、怪しまれないように仕事をした。

そのときに


ここで鈴様と婚約者様が会うからと言われた、応接間を掃除していた。
この後ここで、2人が会うであろう場所を掃除した。

気分は悪い

そのまま応接間に隠れておこうかとも思ったけど、杏にちゃんと会えなきゃここに来た意味がないから。


だから杏はもう
如月冬馬がサトルだと知っていた
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