愛は惜しみなく与う⑥
そして妹が生きていることも告げた。
ただ一つ俺は、杏の口から聞きたかった。

妹のフリをしていると

それを後悔してるのか…今後どうしたいのか…


まだ俺を頼ってくれるのか

知りたかった


もし杏がまた俺の手を取ってくれるなら


俺は絶対サトルになんか負けない

そして杏は

遠慮気味に手を取った


それで充分だよ



絶対後悔させないから


頭の中でカッコよく思っていたものの、よく考えれば、好きな女の子の家にきてる。

で、ベッドの上

割とさ、重い話なんだよ。どうしたらいいかなって悩んでしまう話なんだけどさ


3日くらい会えなかったんだ
俺も限界だった


手を引っ張ってみれば、そのまま上に倒れ込んでくる杏

ふわりと良い香りがする。

何かしようとは思ってない。
ただ目の前に杏がいたから、離さないように少し腰に回した手に力を入れた


杏ってさ

やっぱり力が強いんだ


だからさ?普通に気を抜けば、振り解かれそうだから。

離してくれと体を捩る杏

杏の髪がハラリと杏の顔を隠す

無意識に手を伸ばした
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