愛は惜しみなく与う⑥
泥棒気分だ

2階の屋根から、隣の平家の屋根に飛び移る。ご丁寧に滑り止めがついている。

そしてそこから、芝生が繁っているところに飛び降りる。


もう、膝が痛い
どんなハードな抜け道なんだよ

ここからぐるりと敷地を時計回りに回れば、使用人の泊まる部屋がある。
部屋って言っても、ちゃんとした建物だ。


本当に変な家
元からこんな感じな訳では、なさそうだけど。志木さんのお母さんは、最近おかしくなってきたと言っていたから


はぁ
眠い

杏の隣で寝たかったな

こそこそと歩いて使用人の部屋を目指そうとしたその時


何かの気配を感じてパッと腕を構えた


ガードするように構えた腕には、何か棒状のものが当たった。
誰だ?泥棒と間違えられたか?

どうやって切り抜けようか

色々考えたけどいい案は浮かばない


そして目の前に現れたのは、竹刀を持った男で、その姿をみて生唾を呑んだ


これは…

一筋縄ではいかないぞ


俺の親父なんか非にならないくらいの威圧感

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