愛は惜しみなく与う⑥
威圧感たっぷりの男は1人
俺の前に現れた
どうする?逃げるって言っても、この土地は詳しくないから敷地内で迷子になる
でも、やれるのか?見回りしてたとか言ってみるか?通用するんだろうか
夜に外に出回ってることを怒られるくらいなら、別にいいけど…
そんな風にもみてない
「それなりにいい面構えしてんじゃねーか」
「え?」
誰だ?
月明かりがさらに男を照らす
この人は一体…
「お前だろ、志木が寄越した男は」
まさかの志木さんの名前がでてきて驚いた。それで安心していいのか分からないが、敵意を向けるのをやめた。
「あなたは?」
「おーおー名乗ってなかったな。俺は東堂組組長の東堂雄作、杏の育ての親だ」
なんと…
組長って…
「ショボそうな役に立たない男なら追い返してやろうと思ったけど」
そう言って俺を舐め回すように見る
ビビったら負けだと思い、ぐっと脚に力を入れて立ち、男を見る
威圧感に押されて、1.2歩後ろへ下がってしまいそうになる。
これがあの、有名な東堂組の組長…