愛は惜しみなく与う⑥
そしてある薄暗い部屋に押し込まれる

もしかして、俺、歓迎されてない?
このままリンチされるのかと思い身構えると、その部屋にはズラリと、いかにも!って顔をした男たちが立っていた

雄作さんを見るとニコニコしている


「あの…」

「どれがいい?何人欲しい?どれだけいれば、スコーピオンを潰せる?」


そう話し出した雄作さんは、真剣な眼差しになる

スコーピオンを…


「俺はな…杏が死んだと思ってた」


悔しそうに呟く雄作さん
そうなのか
この人も…知らなかったんだ


「志木に聞いたときは、本当に志木をぶち殺してやろうと思った。でも志木はあれでも使える男だ。それに杏のことを1番に思ってるのは知ってる。だから、許した。殴ったけど。

俺は……自分の娘に、そんな悲しい決断をさせてて、死んだと思って知らなかった自分に腹が立つ」


ガンと入ってきた入口を手で叩く雄作さん。周りの人間ばビクッと肩を震わせた


いや

わかりますよ


「杏の遺体だけでも探そうと、この半年ずっと探した。スコーピオンの連中も、ほとんど牢屋にぶち込んだ。でも見つからなかった」


想像することしかできないけど、本当に辛いことだと思う
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