愛は惜しみなく与う⑥
そんな願いも虚しく


「お前、俺の跡取りになるか?」

「いや、まじで勘弁です」


雄作さんに、口元に徳利を押し付けられて、日本酒を飲めと煽られる

ほんと、俺ここに酒飲みに来たんじゃねーよ!どうにかしてくれよ


「まぁまぁそう嫌がるなって!スコーピオンの相手は、俺たち東堂組に任せな。俺たちも杏を助けたいんだ」

雄作さんはグイッと酒を飲み話し出した



「スコーピオンの連中なら俺たちでも相手できるんだ。でもな、サトルは別格だ。それに、杏を守りながらなんて無理だ。切羽詰まったら、俺らなら撃っちまう。

杏は、俺たちも守ろうとするだろう?」


そう言われて言葉の意味がわかった。
杏が大人しくしてくれるのも想像がつないから。杏が俺たちを守ろうとすることによって、守りにくくなる

俺たちが下手打てば、杏は自分を犠牲にする

それはよくわかる



「俺たちのこと、杏は必死に守ってしまうと思うんだ。あの子は優しいからな。でも、お前ならどうだ?」

………


「お前なら、杏を安心させてやれるくらい、強いんじゃないのか?」


杏を安心させてやれる…
< 82 / 430 >

この作品をシェア

pagetop