愛は惜しみなく与う⑥
すぐに頭おかしくなって、行方不明になったのはあたしやって…言い出したけど。

一瞬、鈴を失った絶望感を感じてるからな

頭が覚えてるんやろうな


「お母様。私はもっと世界を見たいのです。こんな部屋にずっと居たら、生きることも楽しくないです」


あんまり大袈裟に言いたく無かったけど、頑固やからな

でもきっと、これで許しが下りる


『…そうね。ごめんなさいね。お母さん、少し心配しすぎてたみたい』

そう言って母上は電話を切った


少しして部屋の扉が開く


「鈴ちゃん、ごめんなさい」

「謝らないでください。不安にさせてごめんなさい。でも私、大丈夫」


今思ってるすべての気持ちを、この言葉に詰め込んだ。

大丈夫

そう言い聞かせる


「なんだか…大人っぽくなったわね」


そう言う母上に、あたしは笑って見せるだけ。
よかったよかった

監禁生活も終わりや


そのあと母上は仕事の打ち合わせで居なくなった。それに加えてあたしは、ここを自由に歩き回れる


よっしゃ


鈴の誕生日まで、あと5日ある
この5日で絶対サトルに近づいてやる!!
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