愛は惜しみなく与う⑥
あたしは馬鹿でかい家を歩き回る


泉は…どこにおるんやろ
あの格好してたってことは、執事のフリでもしてるんかな

ほな皆んなが待機してる部屋とかにおるんかな


「鈴様、何かお探しですか?」


朝食を持ってきてくれたメイドさんが声を掛けてくれた。

ちゃんとこの家を歩き回るのも久しぶりすぎて、普段使わない部屋には何があるのか全くわからへん

特にここに居ることも少なかったから…


「お手伝いさんってどこにいるの?」

「私たちは、敷地の西側に使用人用の建物がありますので、休憩のものはそちらにいます。誰かお探しですか?」


へ、へぇ
そんな建物あるん知らんかった
この屋敷のどっかで寝てるもんやと…
志木とかあたしの部屋で寝たりしよるし。


「若い男の人の執事って最近入ったの?」

「若い男…あぁ…あの人のことですかね。私もまだしっかりお会いしてませんが。志木さんの代わりに来た…」

「そ、そう!それ!!その人どこに居るの?」


関西弁が出ないように必死に集中しながら喋る。
やぱ泉は志木の代わりに来たってことになってるんやな
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