愛は惜しみなく与う⑥
はぁ

久しぶりに身体を動かすから歩こう

そう思って歩けば、血相を変えて、白髪気味のおじさんが走ってきた。
あぁ

この人知ってる


「隊長…」


あ、やば。今無意識に呟いてしまった。
勿論あたしの目の前にきたおじさんは、目を大きくして驚いている。

しまったなぁ


「お姉ちゃんからそう聞いていたので」


誤魔化せるか?
そういうと、びっくりしたと笑ってくれた。


このおじさん、本名は知らんねんけど、あたしら小さい頃から『隊長』って呼んでる。
それも、この家で探検したり、志木と鬼ごっことかしてる時に、このおじさんも、たまに遊んでくれた

でも、運動神経も悪いし全然相手にならへんにゃけど、当時のあたしからしたら、大人で遊んでくれる人っておらんかったし

勝手にこのおじさんを隊長にして、よく冒険ごっこをしてた


懐かしいなぁ


隊長、太ったなぁ



「は!忘れてた!鈴様、家にお戻りください!すぐそこで、山元組の連中がきて暴れてるんです。東堂組に今応援を頼みにいくところでして!」
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