透明な世界で、ただひとつ。
授業、1日、学生生活、人生。
はじめがあって、おわりがある。
みんなみんな、おわりがあるっていうから。
私はそれに抗って、おわりのないものを探してた。
その答えを、ここで出会った堺が教えてくれた。
「瑞希、ほら笑って。」
「え、私見れもしないのに?」
「俺が瑞希の写真がほしいから。」
私がちょっとおかしくて笑うとパシャっとシャッター音が鳴る。
「なんかこの会話、前にもした。」
「そうかもな。」
その瞬間、一瞬目が見えたような感覚がした。
目の前に大好きな堺の眩しい笑顔が映ったように感じた。
まばたきをすると消えてしまった、私の幻覚にすぎないけれど。
その笑顔を離したくなくて私は手に持っていた白杖を手放し、隣にいる堺に勢いよく抱きついた。
「み、瑞希?」
「堺、大好きだよ。」