透明な世界で、ただひとつ。


授業、1日、学生生活、人生。

はじめがあって、おわりがある。



みんなみんな、おわりがあるっていうから。

私はそれに抗って、おわりのないものを探してた。



その答えを、ここで出会った堺が教えてくれた。



「瑞希、ほら笑って。」

「え、私見れもしないのに?」

「俺が瑞希の写真がほしいから。」



私がちょっとおかしくて笑うとパシャっとシャッター音が鳴る。



「なんかこの会話、前にもした。」

「そうかもな。」



その瞬間、一瞬目が見えたような感覚がした。

目の前に大好きな堺の眩しい笑顔が映ったように感じた。



まばたきをすると消えてしまった、私の幻覚にすぎないけれど。

その笑顔を離したくなくて私は手に持っていた白杖を手放し、隣にいる堺に勢いよく抱きついた。



「み、瑞希?」

「堺、大好きだよ。」

< 111 / 115 >

この作品をシェア

pagetop