透明な世界で、ただひとつ。


柚香が嫌な顔をするのは前々からあったことだが、嫌いだとこんなにもはっきり言われたのははじめてだった。

きっと私の何かが柚香には気に食わないのだろう。



その何かがわからない。

わからないけど、妹から言われた言葉で私が傷ついたことは確かで、嫌われて当然なのに嫌いという言葉に今こんなにも傷ついている自分にも嫌気がさした。



30分もすると、階段を降りてくる足音がして、リビングにはよらずに玄関にむかっていった。



「柚香!また出かけるの!?」

「うるさいな!私の勝手でしょ!」

「あ!もう!」



買い物から帰ってきたであろう母と出かけようとする柚香の声が聞こえた。



「あら、瑞希ちゃん。帰ってきてたのね。」

「うん、今日は空いてたから30分ぐらい前に帰ってきた。」



エコバッグから冷蔵庫に買ってきたものを詰める母を横目に私は自分の部屋に戻った。

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