透明な世界で、ただひとつ。
集まる人は6人にまで増え、騒ぐ声も騒音になる。
この人たちは本当に受験生なのか疑いたくなる。
それと同時に、受験生でもない自分がこうやって真面目に授業に出てるのが馬鹿らしくなった。
「そーたは?」
「んー、どしよ。」
...サボってみよっかな。
私はそんな思いつきでバッグからスマホとイヤホンだけを取り出しポケットにつっこみ、席を立った。
隣の席の堺と一瞬目が合ったがすぐにそらした。
「ねえ、蒼汰〜どっち?」
「やっぱ俺、パス。」
教室を出た時に聞こえた最後の言葉はそれだった。