透明な世界で、ただひとつ。
突然かかった声に目を開けて上をむくと、ちょうど上に窓を開け身を乗り出して私を覗き込む堺がいた。
「何。」
「ん?だってもう授業始まるのにスマホ持ってどっか行くって変だなあって思って。」
それだけ言って覗き込む顔は引っ込み、すぐにドアが開いて堺が私の横に来た。
昨日柚香にああ言われたばっかなのにこれだ。
意味わからない。
「私、あなたと仲良くするつもりないんだけど。
サボりたいんだったらお仲間と遊びに行ったら?」
「俺は畑と話したいな、って思ったんだけど。」
せっかくこれから一番好きな曲のサビだったのに、邪魔された。
「珍しいね、サボるなんて。」
「不真面目サボり魔のあなたとは違って、ちゃんとしないと成績とれないの、一緒にしないで。
サボりなんて初めてに決まってるでしょ。」