透明な世界で、ただひとつ。
「私は静かに過ごしたいの。
どうすればいなくなってくれる?」
「なんかひとつ畑のこと教えてくれたら話しかけるのやめる。」
私の隣に座り、ここから退く素振りを見せないこの男に多少なりとも怒りをおぼえた。
「じゃあ、これ。
この前話したカフェ、いいとこなのには間違えないから行ってみたら。」
私はお気に入りのカフェのサイトを画面に出して差し出した。
これ以上は話しかけないで。
私は体育座りした膝に顔を埋めた。
約束通り、堺はこれ以上話しかけてはこなかった。
そうしていると、いつの間にか眠気が襲ってきて、私はそのまま眠りについた。