透明な世界で、ただひとつ。
目が覚めたのは突然吹いた強い風でだった。
「っ、寝てた...」
「起きた?」
寒さを感じて体をさすろうと両手を肩に持ってこうとすると、肩に何かがかかっているのがわかる。
確認すると男子制服のジャケットで、私は慌てて堺の方を見ると堺はワイシャツ姿で座っていた。
「なんでいんの!そんな格好でここにいたら!」
「カーディガン着てるとはいえ、11月も終わりに外で寝てる女の子1人に出来ると思う?
畑の方が風邪ひくでしょ。」
私は肩にかかっていたジャケットを堺に返した。
スマホで時間を確認すると、あと10分で授業が終わるところだった。
私はイヤホンを外して、スマホと一緒にポケットにしまう。