透明な世界で、ただひとつ。


まあなんとなく予想はついてるし、なんなく見つけられた。

でも、ゴミ置き場でゴミ袋の横に置かれていた上履きに足を入れるのはちょっと気が引ける。



私はスリッパから上履きに履き替えて教室に戻る。

すると、机の横にかけておいた鞄がなくなっていた。



思わず立ちすくんでいると、教室の端の方からくすくすという笑い声が聞こえてきた。

見ると賑やかな方々の中の3人の女子が私の方を見て笑っていた。



全てを察した私は購買部にシャーペン、消しゴム、ルーズリーフを買いに行った。

貴重品だけは持ち歩いていて命拾いした。
数百円だが、あんな奴らのせいで無駄な出費があるのが忌々しい。



「畑、教科書...」

「え?あぁ、間違えて明日の時間割持ってきたの。」



2限目で私の異変に気付いた堺が私に声をかけてきた。

堺はなんだよそれ、と眉を下げて笑い、私に教科書を見せてくれる。


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