透明な世界で、ただひとつ。
私は気まずくてざっと屋上全体をまわって鞄がないことを確認して、その場から足早に立ち去った。
ここにもないのならまたゴミ置き場に行くか、と階段を駆け下りる。
朝、上履きをおいておいた場所にまたはないと思って行かなかったが、他の場所にはないからもう一度足を向けた。
置き場のすぐ近くに来た時に、スカートのポケットの中のスマホが鳴り、私はスマホを取り出した。
そこにはLINEの通知が来ていて、アプリを開くと柚香からひと言だけメッセージがきていた。
裏庭の池。
私はその言葉に首を傾げつつ裏庭に向かった。