透明な世界で、ただひとつ。
「昼ご飯、食べる?」
「そうだね。」
気付けばもうお昼時。
店内は少しずつ混み始めていた。
「おすすめ、ある?」
「ナポリタン。」
「じゃあそれにしよ。」
私たちはふたりしてナポリタンを頼んだ。
「私服って、変な感じする。」
「まあ、お互い制服でしか会ったことないから。」
今更ながら、変じゃないかな、とか考えてもしょうがないことを考えている。
なんか、いまやっていること、いろいろおかしい。
「ナポリタン、好きなの?」
「ここのナポリタン、絶品なの。前に店員さんに教えてもらったの。」
堺がパスタをフォークに巻き付けながら、聞いてきた。
「その店員さんの教えてくれるもの、全部美味しくって。
チーズケーキ好きになったのも、その人の勧めで食べたのがはじめなの。」