透明な世界で、ただひとつ。
都内一等地の遊園地はクリスマスというだけあって賑わっていた。
「遊園地なんて久しぶり。」
「俺も、中学以来だな。」
林立する高層ビルの谷間に建っている様々なアトラクション。
ジェットコースター、メリーゴーランド、観覧車。
慣れない風景に思わずあたりを見回す。
「何乗りたい?」
「ジェットコースター。」
「まじ?しょっぱなから行きますか。」
私の希望で、最初にジェットコースターの待機列に並ぶ。
「ジェットコースター、得意な人?」
「んー、人並み。」
「人並みの人はしょっぱなからは乗らないっしょ。」
そういうものかな、と少し首を傾げた。
「じゃあ、好きかもね。」
そう言って堺を見上げるとそっぽを向いて走るジェットコースターを見ている。