透明な世界で、ただひとつ。
「実は薄々気づいてたんだ。
学校で先生に聞いても留学の話なんて聞いてない風だったし、授業中横で手振っても気付いて貰えなかった。
俺は病気をもってるわけじゃないし、瑞希の気持ちを全部わかってあげられるわけじゃない。
でも、瑞希のそばにいられるし、少しは支えになれるかもしれない。
ありきたりな言葉だけどさ、瑞希はひとりじゃないんだよ。」
堺は俯いた私の顔を覗き込んでまっすぐこっちを見て伝えてくれる。
「もし、見えない世界になったとしても、俺は瑞希が望むなら絶対に隣にいる。
それだけは変わらないよ。」
涙が溢れる、ずっとどこか胸の奥で抑えこんでいた悲しみとか不安とかやりきれなさとかと一緒に。