透明な世界で、ただひとつ。
「畑は甘いもの嫌い?」
「甘いものっていうか、生クリームが嫌い。
どろどろに甘くて、しかもそれが口の中に残る。
コーヒーを飲んでもまだ甘くて、そのどろどろに酔いそうになる。」
私はまだ口の中に残るチーズケーキのあまじょっばさをカフェラテで喉の奥にしまい込む。
その間にも堺は生クリームのたっぷりついたスプーンを平気な顔して口に運ぶ。
「なんか、悪いことしたな。」
「いいの。マカロンとかクッキーとか、生クリームがなければケーキも割と好きだから。」
「ここさ、前から来たかったんだけど、男同士じゃ来れるような場所じゃないだろ。
かと言って、女と来たらこの店だけじゃ帰らせてくれないだろうし。」
まあ、この男の顔じゃモテて当然だと思う。
この男の周りの女子がデート以上を望むことがあるのだろう。