透明な世界で、ただひとつ。
「ふふ。」
私は指輪に反射したオレンジ色の光を見て笑う。
「なんか、私ららしくないよね。」
「いんじゃない?誕生日ぐらい。」
「そうかもね。」
私の隣に戻った堺の顔を覗き込んで聞いた。
堺の左手を取り、そっと指を絡めた。
「ありがと。」
「ん。」
「あの時、声かけてくれてありがとう。
私が冷たくしても声をかけ続けてくれてありがとう。
私を守ってくれてありがとう。
好きになってくれてありがとう。
病気がある私を受け入れてくれてありがとう。
...堺にありがとうは伝えきれないね。」
私は堺の肩にそっと頭を置いた。
「じゃあ、これから沢山お礼もらえる?」
「私が出来る限りお返しします。」
「楽しみにしとく。」
繋がれた手にぎゅっと力が込められた。