花屋敷の主人は蛍に恋をする
浜辺に座って、2人でランチの時間を過ごす。波と風の音、眩しいほどの日差しに包まれながら、ゆったりとした時間を過ごした。
ブカブカの彼のライダースジャケットを肩掛けにしながら、菊那はご機嫌で大きな口を開けて食べているのを、樹は微笑ましそうに見ている。
「………樹さんに、見られていると恥ずかしくて食べれませんよ」
「おいしそうに食べてくれるなと思いまして」
「おいしいですよ。外で食べるとまた格別なきがします」
「確かにそうですね。こんど、屋敷の庭でご飯を食べてみましょうか。実際には外、ではないんですが」
「いいと思います!幻想的になりそうですね。楽しみだなー」
その時はキャンドルなどをつけても雰囲気が出るだろうか。お酒ものんでゆっくりしたいな……でも、そうすると彼に送ってもらえなくなるからお泊まりだろうか。初めてキスした時のように、彼は酔って甘いキスをしてくれるのだろうか。…………いや、あの時も酔ってはいなかったけど。
そんな想像をしながら、にこにこしていると、樹は菊那に問いかけた。