花屋敷の主人は蛍に恋をする
デートの終わりは、日葵から貰った向日葵の種を一緒に蒔く事になったのだ。
今回は向日葵畑で育てている日葵から貰ったのだから、必ず芽が出るだろうとわかってはいる。けれど、何年続けて失敗していたので、不安があったのだ。そのため、菊那が樹にお願いして見て貰う事になった。
「大丈夫ですよ。この、向日葵は咲きます。ミニ向日葵でしょうから可愛らしい花が咲くはずです」
不安そうにしていると勘違いしたのか、隣に座る樹が菊那の頭を優しく撫でてくれた。大丈夫、と彼を心配させないように返事をしなければいけないと思いつつも、それが嬉しくて黙って撫でられてしまっている。
「無事に咲いたら写真撮って送りますね!」
「………送りますではなくて…………?」
「送る……ね?」
「そうですね。……間違えたらペナルティーにしますか。間違える毎にキス1回とか」
「………じゃあ、樹さんも間違えたペナルティーだよ?」
「なるほど。それは菊那からキスをしてくれると言う事ですか?」
ニヤリと企んだ笑みを見せてそう言う樹に、菊那はハッとしてしまう。