花屋敷の主人は蛍に恋をする
「俺は尾崎。史陀の大学からの友人なんだ。さっき、見たって行ったのは、少し前に小学生ぐらいの男の子と3人で居た時かな。用事があったんだけど、何だか話しかけにくかったからそのまま帰ったんだ。その時に君を見たんだよ」
「そうでしたか……樹さんのお友だち……」
「君の名前は?」
「春夏冬菊那です」
「菊那ちゃんね。……もしかして、君って、史陀の恋人?」
「えっ」
グイグイと話を進める尾崎にのせられたまま話を進めてしまう。
そして、関係を聞かれてドキッとして、何と答えればいいのか迷ってしまった。けれど、その間が肯定を意味していると尾崎は敏感に察知してしまった。
「へぇー……君があいつの恋人ねー」
尾崎が菊那に近づき、じろりと顔を見つめた。
中性的な樹とは違う、男らしさが感じられるかっこよさがある尾崎との距離が近くなり菊那はドキッとして、視線をそらす。
どうして、この人は自分にからんでくるのか。そして、樹と何を言い合っていたのか。気になる事は沢山あった。
けれど、見ず知らずの尾崎に聞けるはずもない。
「あの………尾崎さん……近いです………」
「…………君、もしかして……」
「ぇ………?」