花屋敷の主人は蛍に恋をする
そんな風に呆然とその花を見つめていた時だった。ドンッと腰の当たりに衝撃を受けた。気づいた時には、菊那は道路に倒れ転んでしまっていた。手や足にぐちゃりとした濡れた感触を感じる。その後に尻や手が痛さを感じた。
「いたたた………」
菊那が衝撃で閉じていた瞳を開けると、目の前には小さな体が同じように倒れていた。そして、近くには茶色の花も落ちている。
「君………大丈夫?」
菊那はその子どもとぶつかってしまったのだとわかり、ゆっくりと立ち上がりながらその子に声を掛けた。
すると、その子どもは顔を歪めながら、こちらを見た。あどけさが残るがとても真面目そうな少年だった。サラサラの髪は少し茶色が混ざった綺麗な色をしており、肌は子どもにしては白い。小学校低学年ぐらいだろうと、菊那は思った。
「怪我してないかな?ごめんね、周りを見てなくて………」
「大丈夫です………だから、放っておいてください」