花屋敷の主人は蛍に恋をする
「このポーチ可愛いじゃん。どこがダサいんだよ」
「え………」
思わず小さく声がもれてしまい、菊那は日葵を見つめた。彼はまっすぐに彼女達を見て、当たり前の事のようにそう言ったのだ。
彼女達は少し動揺していたが、すぐに「今時、手作りなんてださいし、刺繍も可愛くないよ。日葵くんは男の子だから可愛いのわからないんじゃないかな?」と、言った。
だが、日葵は首を傾げて「そうかな?」と、菊那が持っていたポーチを見て、にっこりと笑った。
「俺はやっぱり可愛いと思う。佳菜がいらないなら俺がこれもらうよ………って、カナって名前書いてるか……これ名前変えられる?」
「え………あ、うん……」
「じゃあ、時間ある時に「ひなた」にしてくれないかな。楽しみにしてるから」
「…………うん、わかった」
「…………」