花屋敷の主人は蛍に恋をする



 「日葵くんっ!」
 「ん………あ、菊那………!」


 菊那が近づくと、驚いた表情を見せ、周りをキョロキョロと見渡した。


 「俺と話してるのがバレるとおまえまでまた何かやられるぞ。学校で話しかけない方がいい」
 「………大丈夫だよ。私は、そこまで気にしてない」
 「何言ってんだよ。少し前にポーチ渡したときは死んだ顔してただろ」
 

 そう言って苦笑しながら菊那を見る日葵は少し疲れているようだった。


 「………私のせいで、ごめんね。日葵くん………いつか伝えようと思ってて……」
 「おまえのせいじゃないだろ?菊那は何も悪くない。それに俺は元から一人で絵を描いてる方が好きだからそこまで気にしてない」
 「……でも………」
 「それにあんな風にいじめに加担するやつらとは友達になりたいとも思わないから。だから、菊那だけでいい。こうやって普通に話せるのが嬉しいし」
 「…………日葵くん………」



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