花屋敷の主人は蛍に恋をする
「家もひまわり畑みたい、ですね」
「それ、史陀さんにも同じ事を言われたよ」
「向日葵が大好きなのだと伝わってきますよ」
「史陀さんと仲良くなったのも向日葵がきっかけですからね」
日葵は菊那と樹をリビングに案内してくれた。ふかふかのソファに座り、彼の入れてくれた紅茶を飲んだ。「これは史陀さんからプレゼントしてもらってから、お気に入りなんだ」と教えてくれた。
「この間、史陀さんから電話があってね。菊那という女性を知っていますか?と突然言われて驚いたよ。世間は狭いというけれど……本当に偶然に感謝だね」
日葵は再会の喜びを喜んでくれているようで、ニッコリと笑いながら2人の迎えに折り畳みの椅子を持ってきて座った。
「けれど、史陀さんから菊那さんの話を聞いて驚いてしまったよ。……しっかりと説明させて欲しい。……けど、その前に。僕は菊那って呼んでもいいかな?昔のように」
「もちろん」
「ありがとう。だから、菊那も僕に敬語はなしにして欲しい」
「………わかったわ」
「うん。その方がしっくりくるよ。………じゃあ、少し昔の話をしよう。懐かしくも少し苦い思い出話を」
そう言った日葵の表情は少し苦しそうなものへと変わっていた。
きっと、それがその当時の彼の本当の気持ちを表しているのだと思うと、菊那の胸はギリギリと締め付けられ苦しくなるのだった。