花屋敷の主人は蛍に恋をする
陽菜は外で遊び疲れたのか、すぐに寝てしまった。
昼食を食べていなかった菊那と樹のために、恵はサンドイッチを出してくれた。
菊那にはフルーツサンドを、樹には野菜と卵のサンドイッチを選んでくれた。やはり、樹は甘いものあまり好きではないようだ。
「あの……日葵くんは今も絵を描いているの?」
「うん。実は画家をやってるんだ。昔は全然売れなかったけど、個展をやっていくうちに少しずつ売れるようになってね。向日葵の生産で生計を立ててたけど、今は絵で食べていけるようになったんだよ。だから、向日葵畑は恵に任せてばかりなんだ」
「ビニールハウスだけにしたから私だけでも頑張れるの。目の前の畑全部やってたら、無理だけど」
「………え、周りの畑も?!」
かなり大きな面積だったので、菊那は驚いてしまうと、「土地を借りてるんだ」と日葵は笑った。
「キャベツ畑の収穫が終わったあとに向日葵を植えさせてもらってたんだよ。向日葵を植えると土も良くなるらしくて。今はキャベツ畑の人が向日葵を植えて、その収穫だけを手伝ってる感じだよ」
「そうなんだ…………向日葵、本当に好きなんだね」
「あぁ、今でも大好きだよ。菊那も裁縫やってるの?」
「うん………ハンドメイドで少しだけだけど。まだ好きだから」
「そっか!菊那の刺繍はすごい可愛いんだ!そうだ、俺も注文しようかな。恵も欲しいだろ?」
そう言って、菊那がスマホで自分の作品を日葵に見せていると、恵はクスクスと楽しそうに笑っていた。