花屋敷の主人は蛍に恋をする
「菊那さん、今日は来てくれてありがとうございます。彼から少し話は聞きました。………本当に辛い思いをさせてしまって、ごめんなさい」
「いえっ!私が勝手に勘違いしただけなので……」
「………日葵はね、あなたが初恋だって話してくれたわ」
「え………」
「こ、こら!恵っ!そんな事、話さなくても………」
懐かしそうに目を細めて話す恵だが、日葵は焦ったように彼女を止めたが、もう菊那の耳に入ってしまったものは、忘れられない。
菊那は驚きながら日葵を見ると、彼は頭をかきながら「あー……バレたー」と恥ずかしそうに頬を染めていた。
「初恋の相手なんて、って私もその時も悔しかったけど……日葵はとっても楽しそうに話してくれるから。会ってもいないのに会いたくなってしまったの。彼は、あなたをいじめから守った事が武勇伝なんですって。よっぽど大切だったのね」
「………恵、もう止めてくれ………」
「いいじゃない。あなたは私と結婚したんだから、私が1番好きなんでしょ?それなら昔の恋話ぐらいしてもいいわよね」
「…………何で俺が辱しめにあってるんだ」
1人恥ずかしそうに下を向く日葵を見て、3人は思わず笑ってしまう。
やはり彼は変わっていない。どこに居ても人が集まり、こうやって好かれている。みんなを笑顔に出来る。向日葵そのものだ。
そんな日葵だったけれど、気恥ずかしそうに菊那を見た後、ゆっくりと口を開いた。彼から聞いたこともない、日葵の昔の自分への気持ちを。