大嫌いなアイツ〜幼馴染は今日も私を〜
今まで一言も喋らなかったアイツが、私の目を真っ直ぐに見て言い放つ。
「ごめんな急に現れて。お前が俺のこと嫌いなのは知ってるから。もうお前には話しかけないし、教室以外で会うこともない」
そう言うとアイツは私に背を向けて瑞樹の手を引いた。
「ちょっ……と、待って!清華、本当に今日はごめんなさい。また明日話そ」
私は瑞樹にそっと手を振ると、小さくなる後ろ姿を少しだけ見送って、家に入った。
あまりにも拒否し過ぎただろうか。
瑞樹に申し訳ない気持ちになったのと、アイツにも…あんな表情をするとは思わなかった。
私の気持ちを察した上で突き放すようなことを言って、少しだけ傷ついたような顔をしていた。
解釈違いだったら、いいのに。
心の中の苦虫を潰すように、ギュッと心臓を掴んだ。