大嫌いなアイツ〜幼馴染は今日も私を〜
お裾分け
お裾分け


「零ー」

母さんに俺の名前を大きな声で呼ばれて、嫌な予感がする。

母さんに名前を呼ばれる時は大抵面倒なことを頼まれる時だ。


どうせ買い物とか、雑用頼まれるんだろ。


「なに?」

諦め半分でぶっきらぼうに答えると、母さんは大きな段ボール箱を抱えて俺の部屋に入ってきた。


「水野さん家に野菜のお裾分け持っていってちょうだい」

「野菜のお裾分けって……いつの時代だよ」


「ぐちゃぐちゃ言わない。田舎のおばあちゃん家から貰った野菜、大量に余ってるの。今はお兄ちゃんもこの家にいないし、食べ切れずに腐っちゃ勿体無いでしょ」


はぁ……。こう言う時は母さんに逆らうとロクなことがないからな。

俺は大人しくダンボール箱を抱えて、母さんと一緒に階段を降りた。
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