大嫌いなアイツ〜幼馴染は今日も私を〜
「じゃあ私もここ教えてもらったら帰ろうかな」
私たちは、それぞれに勉強道具を片付けると、家の前ですんなりと別れた。
壱兄ちゃんは出かけているのか、私の前に出てくることはなかった。
「……清華!」
「消しゴム。忘れてた」
「あ。ごめん」
遠くから大きな声で呼ばれて何事かと思ったら、消しゴムか。
何となく急いで玄関まで行くと、アイツの前に手を出す。
けれど中々、零は消しゴムを渡さない。
なにこれ意地悪?
眉をひそめてアイツの顔を見ると、アイツは何故か言いにくそうな顔をして、目をそらす。