クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「なにを驚くことがある。俺の妻は君なんだから、君のものだろう。とはいえ、祖母のものゆえ型は少々流行遅れかもしれん。気が向いた時だけでも付けてくれれば、きっと祖母も喜ぶだろう」
「流行遅れだなんて、そんなことありません! 気が向いた時といわず、肌身離さず付けるに決まっています!」
 私が勢い勇んで口にすれば、ペンダントを首の後ろで留めてくれていたライアンが、なぜか苦笑を浮かべた。
「どうやら祖母に先を越されてしまったようだ。君が肌身離さず身につける品は、祖母の形見ではなく、俺が贈ったものがよかった」
 ペンダントを付け終えたライアンが、項にチュッと口付けを落としながら告げる。その台詞と触れた唇の熱さに、カッと全身が燃え立つように火照った。
 ドキドキとした落ち着かなさを隠すように、私はライアンから今は私の胸元で光るペンダントに意識を向けた。右手を持ち上げて、そっと指先で精緻な金細工が施されたペンダントトップに触れる。
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