クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 キョトンとして首を傾げる私に、カ―ラがどや顔で告げる。しかし、彼女の台詞には肝心の「なにが」の部分が抜けている。
「もう、カ―ラったら。それじゃわからないわ、一体なにが来るっていうの?」
「なんと、王都で絶大な人気を誇るイケメン騎士たちが、ここに来るらしいんだよ! 去年、騎士団は社会奉仕活動で養老院の補修作業をしただろう? 今年は、若い男手がないここが、彼らの活動先に選ばれたらしいんだ!」
 頬を桃色に染め、嬉々として告げるカ―ラに、私は特大のため息をついた。
「みんな、そんな事で浮かれていたのね……」
 なんとか、続きの「馬鹿らしい」の一言は呑み込んだ。
「なにさ、マリアは興味ないのかよ?」
「ないわ。私は主に、生涯を捧げるんだもの」
「ちぇっ、マリアはこれだもんな」
 即答すれば、彼女は不満げにぷうっと頬を膨らませた。
「ふふふっ。およしなさいよカ―ラ。マリアは、行儀見習いとしてここで一時を過ごす私達とは、生きる世界が違うのよ」
 カ―ラを挟んで反対側を歩いていたドリーが、嘲笑混じりに告げる。
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